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あせりから解き放してくれた育児書「育児の百科」松田道雄

てんとうむし 862号 2013年1月18日

お子さんが病気やケガをしたり、成長面で心配な時、皆さんは何を頼りになさっていますか。今はネット時代ですから、パソコンで検索という方も多いのではないでしょうか。私の子育て時代はもっぱら育児書が主流で、バイブル的存在だったのが松田道雄著「育児の百科」でした。母を早くに亡くし、核家族でしたから、何か変わったことがあると育児書と首っぴきでため息をついたりホッとしたりと、頼りがいのあるおばあちゃん的存在がこの本でした。
松田道雄さんは、石にして思想家。1967年初版ののち2003年までに6刷を重ねています。私が手に入れたのは初版本でしたが、2人の子育てに活躍した後、義妹や友人の手に渡り、いつしか子どもの成長とともに書棚から姿を消していました。その育児書に再びめぐり合ったのは7年前のことです。書店でずい分探してやっと手に入れることが出来ました。
ページをめくり、あることばに再会した時、私の育児の原点はここにあったのだと思いを強くしました。それは、著者の「できる限り子どもの立場に実を置いて育児を考える」ということばです。思いかえせば、赤ちゃんの発達についても杓子定規に、何ヶ月になったらこれが出来なくては、という考えではなく、成長の様子にはさまざまなタイプがあっていい。子どもの個性を尊重しなければならないなど、未経験な私はずい分励まされたものでした。

この本のひとつの特徴は、集団保育を取り上げていることです。松田道雄さんは、

「3、4歳の子どもにエネルギーの自由な発散をさせ、楽しませ、かつ安全であるためには広い場所に出してやるのが一番いい。できるだけ大気の中で大地の上で自由に遊ばせたい。生き生きした子どもをつくるためには、子どもが自由意志で友だちと遊べる空間を与えねばならぬ。大人に管理されない安全な空間をどうつくるかが、集団保育のこれからの問題だ。」

と述べています。また、

「幼稚園や保育園が小中学校の教育よりすぐれているのは人間関係の教育を優先させられるという点にある」

「幼児期の大事な時に、学校スタイルの保育を受けている子どもは仲間と協力することを知らない人間に育ってしまう。」

とも。

本書の中の松田道雄さんのこうあってほしいという思いと、ろりぽっぷとの共通点をいくつも発見し、私自身がいかに深く影響を受けていたかを再確認させられました。
この育児書は、150万人の読者を得て、今なお多くのお母さんたちから支持されています。父母用図書としてろりぽっぷ文庫に常備してありますので、是非一度手に取ってみて下さい。(「育児の百科」岩波書店 ¥3,800)

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